【新連載】体験談じゃなく、”正解”が知りたいあなたへ_第1回...
2026/01/18
2026/01/18
仕事、家事、育児、自身の人生、、、
忙しい日々の中で、腹腔鏡下手術を受けることになり、
不安な気持ちでスマートフォンを手に取り情報収集。
「腹腔鏡手術 体験談」と検索すると、
画面には次々と表示されるリアルな声。
「思ったより痛かった」
「術後がつらかった」
「もっと準備をしておけばよかった」
読むほどに、自分の未来を重ねてしまい、
気づけば不安ばかりが大きくなっていませんか。
でも、そのとき立ち止まって考えてほしい。
それは「その人にとっての経験」であって、
「あなたに確定している未来」ではないこと。
あなたが本当に知りたいのは、
誰かの体験談でしょうか。
それとも、**あなた自身にとっての“正解”**でしょうか。
医療には、流れがあります。
そして同時に、患者さん一人ひとりに合わせて変わる「正解」があります。
この連載「体験談じゃなく、“正解”が知りたいあなたへ」では、
インターネット上の情報に振り回されがちな手術前後の管理について、
専門医の立場から、できるだけやさしく、医学的に正確な形でお伝えしていきます。
私(芦屋ウィメンズクリニック院長:錢 鴻武)は、長年、腹腔鏡手術に携わり、
多くの患者さんの「手術前の不安」と「手術後の日常」を見てきました。
体験談を否定したいわけではありません。
ただ、それを唯一の答えにしてほしくないのです。
まず第1回では、
インターネットにあふれる「体験談」と、
医療として考えられている標準的な管理とが、
必ずしも同じではないということをお伝えします。
同じ腹腔鏡手術でも、
実際にはここまで違いが出ることがある――
その事実を知るところから、始めていきましょう。
同じ腹腔鏡手術であっても、
術式や病院の方針、体質などによって、
術前・術後の対応は少しずつ異なります。
また、痛みの感じ方や回復のスピードも、本当に人それぞれです。
たとえば、
「私は手術の前日に下剤を飲みました」
という体験談を目にすることがありますが、
別の方では、下剤も浣腸もまったく必要ないケースもあります。
少し前に、ある芸能人の腹腔鏡手術の体験記を読みました。
そのブログは影響力が大きく、手術体験記のランキングでも瞬く間に1位になっていました。
実際、私の患者さんの多くもその記事を読んでおり、
術前説明の際に
「書いてあった内容と違うので不安です」
と戸惑われる場面が少なくありませんでした。
影響力があるだけに、医師としては正直、困る部分でもあります。
その体験記には、次のような経過が書かれていました。
――おや?
ずいぶん違いますよね。
なぜでしょうか?
体験談は、あくまでひとつの参考情報です。
読んでも構いません。
けれど、それを「唯一の正解」にしないでほしいのです。
私たち医師が本当にお伝えしたいのは、
「一般的な医療の流れ」や
「安心して手術に臨むための準備の考え方」です。
この連載では、
できる限りやさしい言葉で、
そして医学的に正確な情報を、
ひとつずつ丁寧にお伝えしていきます。
次回は、多くの方がまず気になるテーマ――
「手術前夜の準備って、何をするの?」 についてです。
下剤や浣腸、剃毛…。
最近の医療では、実際どうなっているのでしょうか。
そもそも、それらはなぜ必要とされてきたのか。
専門家の視点から、
安心して手術に臨める準備についてお話しします。
体験談に心が揺れるのは、
それだけ真剣に向き合っている証拠です。その気持ちを大切に受けとめながら、
**「正しい準備」と「信頼できる情報」**で、
手術を少しでも安心なものにするお手伝いができればと思っています。
🔗診療予約ページ(初診よりオンライン診療もご利用いただけます)
錢 鴻武(産婦人科医/芦屋ウィメンズクリニック院長)
日本産科婦人科内視鏡学会 腹腔鏡・子宮鏡技術認定医
日本外科内視鏡学会 技術認定(産婦人科領域)
日本女性骨盤底医学会 専門医
「未来を守る医療」を信念に、子宮や卵巣の温存手術では機能の温存・回復にこだわった婦人科手術を専門に行う。
手術の技術だけでなく、術前の迷いや不安にも正面から向き合う診療スタイルが信条。
趣味はマラソン。走る医師として、サロマ湖ウルトラマラソンを10回完走し「サロマンブルー」の称号を得ている。フルマラソン自己ベストは2時間53分、富士登山競走も2回頂上まで完走。