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2026/03/31
2026/05/13
こんにちは。芦屋ウィメンズクリニックの錢 鴻武(せん こうぶ)です。
日々の診療の中で、患者さんから
「子宮体がん検診を受けたい」というご相談をよくいただきます。
しかし当院では、いわゆる「子宮体がん検診」を行っていません。
「え?どうして?」
「しなくていいんですか?」
「毎年受けていましたけど、大丈夫でしょうか?」
といった戸惑いの声をいただくことも少なくありません。
この記事では、行っていない理由とともに、
子宮体がんの見つけ方や検査の考え方について、
医学的な根拠に基づいてできるだけわかりやすくお伝えします。
「子宮体がん検診」として行われている検査とは、
子宮の内膜の表面をこすって、細胞を採取する
「内膜細胞診」を指します。
日本では現在も広く行われている検査ですが、
無症状の方に対する検診としては、
現在の医学では一般的に推奨されていません。
では、子宮体がんはどのように見つけるのが正しいのでしょうか。
結論からお伝えすると、
子宮体がんは、無症状の方に対して検診で見つけるものではなく、
症状や超音波検査所見をもとに必要な検査を行って診断するのが基本です。
子宮体がんの大きな特徴は、
約90%が不正出血などの症状で発見される
ことです。
つまり
という構造になっています。
子宮体がんの診断では、まず経腟超音波検査を行います。
特に閉経後では、
子宮内膜の厚さが 4mm以下の場合、
子宮体がんの可能性は極めて低いことが知られています。
実際に、
内膜が4mm未満の群では癌が検出されなかった
という報告もあります。
ここが最も重要なポイントです。
子宮体がんを疑った場合に行うべき検査は、
内膜細胞診ではなく、
内膜の一部を採取する
子宮内膜組織診(生検)です。
細胞診が「こすって細胞だけを集める検査」なのに対して、
組織診は「実際の組織そのものを採って調べる検査」です。
そのため、診断の確実性が大きく異なります。
組織診は
と非常に高い診断精度を持ちます。
つまり、診断は「組織で確定する」
というのが基本です。
ではなぜ、内膜細胞診は推奨されないのでしょうか。
理由はシンプルです。
そもそも、がん検診(スクリーニング検査)は、
「早期発見・早期治療につながること」が前提となります。
しかし子宮体がんに関しては、
無症状の段階で確実に早期発見できる有効なスクリーニング検査は、現在のところ確立されていません。
その中で内膜細胞診は、
スクリーニング検査として必要な条件を満たしていないと考えられています。
理由は大きく3つです。
子宮体がんは子宮内の一部より発生するため、
細胞診ではその部分を正確に採取できません。
特に無症状で超音波でも異常が見えない場合、
十分な検体が採取できないこともあります。
狙って採取できないことから、
細胞診は「陰性でもがんを否定できない」検査です。
つまり、スクリーニングとして重要な
「見逃さない」という役割を十分に果たせません。
陽性でも陰性でも、最終的には組織検査が診断のために必要となります。
つまり、単独では診断にもスクリーニングにもなりきれない検査です。
だからこそ、子宮体がんは「症状をきっかけに適切な検査を行う」ことが最も重要になります。
ここまでお伝えした考え方は、
当院独自のものではありません。
欧米のガイドライン(ACOG・USPSTFなど)でも
無症状の女性に対する子宮体がんのスクリーニングは推奨されていません。
理由は
といった点が挙げられています。
子宮内膜細胞診は日本で広く行われている検査です。
その背景には、
といった事情があります。
いずれもこれまでの臨床現場の工夫や経験の中で広がってきたものであり、
一概に否定されるものではありません。
一方で、国際的な基準では、
無症状の方に対するスクリーニングとしては標準的な方法とは位置づけられていません。
当院では、
をもとに、検査の必要性を判断しています。
そして必要な場合には、
最初から診断精度の高い子宮内膜組織検査を行います。
子宮体がんは
だからこそ重要なのは
「必要な時に、適切な検査を行うこと」
不正出血など気になる症状がある場合は、
早めにご相談ください。
→ 無症状の方には一般的には推奨されていません。
→陽性だった場合は、診断目的に組織検査を行います。
→ 陰性でもがんを否定できないため、がんが疑わしい場合は組織検査を行います。
→ 不正出血がある場合は検査が必要です。
→超音波検査で内膜の状態を観察し、病変が疑わしい時は組織検査を行います。
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錢 鴻武(産婦人科医/芦屋ウィメンズクリニック院長)
日本産科婦人科内視鏡学会 腹腔鏡・子宮鏡技術認定医
日本外科内視鏡学会 技術認定(産婦人科領域)
日本女性骨盤底医学会 専門医
「未来を守る医療」を信念に、子宮や卵巣の温存手術では機能の温存・回復にこだわった婦人科手術を専門に行う。
手術の技術だけでなく、術前の迷いや不安にも正面から向き合う診療スタイルが信条。
趣味はマラソン。走る医師として、サロマ湖ウルトラマラソンを10回完走し「サロマンブルー」の称号を得ている。フルマラソン自己ベストは2時間53分、富士登山競走も2回頂上まで完走。