中高生注目!HPVワクチンについて考えてみましょう...
2025/01/17
2025/01/20
医師の錢瓊毓(せんけいいく)です。
クラミジア感染症は、性感染症(STD)の中でも最も感染者数の多い疾患の一つです。今回は、産婦人科医の立場から、症状や治療法、予防方法について分かりやすく解説していきます。
クラミジア感染症は、クラミジア・トラコマティスという細菌による感染症です。性的接触によって感染し、男女ともに感染する可能性があります。特に気をつけなければならないのは、感染しても自覚症状がない場合が多いということです。
感染初期には症状が現れにくいため、気づかないうちに他の人へ感染を広げてしまう可能性があります。また、適切な治療を受けないまま放置すると、女性の場合は不妊症や子宮外妊娠などの深刻な合併症を引き起こす可能性があります。
クラミジア感染症の症状は、男女で異なります。
女性の場合、以下のような症状が現れることがあります:
男性の場合は、以下のような症状が見られます:
ただし、重要なポイントとして、感染者の7割程度は無症状であることを覚えておいてください。そのため、性的接触があり心配な場合は、症状の有無にかかわらず検査を受けることをお勧めします。
クラミジア感染症の検査は、尿検査や分泌物の検査で簡単に行うことができます。女性の場合は、腟分泌物の検査をします。患者さんには内診台に座っていただき、医師が腟分泌物を採取します。結果が出るまで2-4日程度です。
治療は、抗生物質の服用が基本となります。一般的に処方される薬剤は以下の通りです:
治療開始後は、症状が改善しても必ず処方された薬を最後まで服用することが重要です。また、パートナーも同時に治療を受ける必要があります。片方だけが治療を受けても、再感染の可能性が高くなってしまうからです。
予防方法としては、以下の点に気をつけましょう:
私が性感染症の啓蒙に特に力を入れるようになったきっかけは、ある患者さんとの出会いです。その方は、30歳女性で子宮外妊娠のため、緊急手術となりました。手術で片方の卵管を切除し、もう片方の卵管の状態を確認したところ、卵管が閉塞していました。術後、ご本人にその事実をお伝えし、自然妊娠は難しいかもしれない、とお話しました。卵管閉塞の原因は何かと問われたので、クラミジア感染などが原因になることがあると説明したら、20歳ごろにクラミジア感染になったことがあるとのことでした。「そのときのパートナーとは別れ、感染症も治療し、もう終わったことだと思っていたのに、こんなことになるなんて。今のパートナーに申し訳ない。」と涙した彼女の姿が今も忘れられません。
コンドームで感染予防策をとっていれば、定期的に検査して少しでも早く感染を見つけて治療していれば、あんな男と付き合わなければ、、、などなど、たくさんの思いが巡りますが、後悔は先に立たず、です。
性感染症は「不快な症状がある」といった一時的なものではなく、誰かの人生を大きく変えてしまう可能性があるところが怖いのです。知識がないと行動することができません。この記事を読んでくださったみなさんには、悔いのない行動を選びとっていただきたいと思います。
クラミジア感染症は適切な治療を受ければ完治する病気です。心配な症状がある場合や、感染の可能性を感じた場合は、恥ずかしがらずに医療機関を受診してください。早期発見・早期治療が、あなたとパートナーの健康と未来を守る最善の方法です。