中高生注目!HPVワクチンについて考えてみましょう...
2025/01/17
2025/02/05
医師の錢瓊毓(せんけいいく)です。今日は、私が産婦人科医として色んな場所でお話してきた「知識と選択」について書きたいと思います。
現代の女性の生き方は多様化し、キャリア、趣味、パートナーシップ、さまざまな選択肢が広がっています。しかし、どんなに時代が変わっても「女性が妊娠・出産できる年齢の上限」は大きく変わっていません。この現実について、踏み込んでお話させてください。
個人差はありますが、統計的には年齢を重ねるごとに妊娠しにくくなることが分かっています。その理由のひとつが卵子の加齢です。
女性は、生まれたときにすでに一生分の卵子を持っています。つまり、新しく卵子が作られることはなく、年々減少し、質も低下していきます。そのため、20代では妊娠しやすくても、30代後半から40代になると自然妊娠の確率は大きく下がります。また、卵子の質の低下により、流産のリスクも高まります。
医学の進歩により体外受精などの不妊治療が発展していますが、それでも「年齢による妊娠のしやすさ」には限界があるのが現実です。
女性の社会進出が進み、ライフスタイルの選択肢が増えたことで、結婚や出産のタイミングが多様化しています。しかし、どんなに社会が変わっても、女性の身体の変化は変わりません。40代に入ると妊娠の確率は大きく低下し、一回の排卵あたりの自然妊娠率は40歳で約5%、45歳で1%と言われています。体外受精などの生殖補助医療を行っても、生産率(出産できる確率)は10%を下回ります(上のグラフ参照)。また、年齢が上がれば上がるほど、妊娠や出産に伴う合併症の発症リスクは高くなりますし、出産そのものも難航します。
この現実を知ったうえで、ご自身の人生における妊娠や出産をどう位置付けるかは、一人ひとりの選択です。大切なのは、「知らなかった」「もっと早く考えておけばよかった」と後悔しないこと。診察室でお会いした方からこのセリフを聞くときはいつも心が痛みます。そうならないために、こうやって記事を書いたり、病院の外に出かけて講演をして発信しています。
「いつか子どもが欲しい」と考えている方は、将来の妊娠の可能性を意識しながらライフプランを考えることが大切です。
「いつか妊娠できる」と思っていると、思いがけず難しい状況に直面することもあります。後悔しないために、今のうちから知識を得て、人生に向き合い、選択肢を持っておくことが大切です。
誤解しないでいただきたいのは、私は妊娠・出産のない人生を否定しているわけではないということです。産婦人科医として、これまで多くの女性に出会ってきました。
子どもを持たない選択をする方もいれば、不妊治療を何年も続けても妊娠に至らなかった方もいます。妊娠が可能な年齢のうちにパートナーに出会えなかった方もいます。どの人生も、その方が真剣に向き合い、選んだ道です。
私が皆さんに伝えたいのは、「妊娠・出産には年齢の限界がある」という知識です。それを理解したうえで、自分が何を優先し、どんな人生を選ぶのか。それを意識することが、後悔の少ない人生を歩むために大切なのではないでしょうか。人生は思い通りにはいきません。それでも、自分なりにそのときそのとき真剣に考えて選んだのであれば、そこに伴った結果を受け入れられると私は信じています。
未来の自分のために、一度立ち止まって「妊娠・出産」という視点からも人生設計を考えてみませんか?
芦屋ウィメンズクリニックでは、「医療相談」という自費診療サービスを提供しています。これは、みなさまに私たち産婦人科医の知識と経験を最大限に使いこなしていただくためのサービスです。ご自身の人生設計に悩んでいらっしゃる方には、ぜひ産婦人科医を活用していただきたいと思っています。
「医療相談」をご希望の方は、当院ホームページからお問い合わせください。ご都合の良い日時をメールで調整させていただきます。来院困難な方にはオンラインでお話を伺うこともできますので、その旨を予約時にお知らせください。