
【総集編】未来を守る手術の話 全5回まとめ...
2025/08/21
2025/08/21
こんにちは
芦屋ウィメンズクリニックの錢 鴻武(せん こうぶ)です。
この連載「未来を守る手術の話」も、いよいよ今回が最終回です。
これまで、手術をめぐる考え方や、そのきっかけとなったエピソード、そして私が大切にしている向き合い方についてお伝えしてきました。
手術は、一瞬の決断ではありません。
迷い、考え、時には立ち止まりながら選び取るものです。
そして、その選択は未来をどう生きていくかにもつながっていきます。
最終話では、迷いの中にいるあなたへ、そしてこれまで出会ってきたすべての患者さんへ、私からの感謝とメッセージをお届けします。
(第1話 「手術って、そんなにすぐ決めないといけないの?」)
(第2話 「無事に終えた手術” でも、未来が変わってしまった女性の話」)
(第3話 「手術を受けたら、妊娠できなくなるの?」)
(第4話 「病院じゃなく、“誰が手術するか”が未来を決める?」)
ここまで連載を読んでくださって、本当にありがとうございます。
手術について、こうして連載という形でお話しするのは、正直なところ少し勇気がいりました。
他者への批判と受け取られたり、自分の自慢のように感じられたりするのではないか――そんな不安もあったからです。
それでも、「きっと、どこかに迷っている人がいるはず」と思い、
その方に届くように、言葉を選びながら綴ってきました。
私は、子宮筋腫や子宮内膜症、骨盤臓器脱といった婦人科の良性疾患に対する腹腔鏡手術を専門にしています。
これらは命にかかわる「がん」とは違うため、どうしても軽く見られてしまうことがあります。
ですが、痛みや出血、日常生活への影響に悩まされている方にとっては、とても切実で大きな問題です。
しかし、婦人科医の多くはがん手術を専門としています。
その中で、良性疾患の治療を専門にする医師はまだ多くありません。
だからこそ私は、この分野を専門にすることで、悩んでいる方々の力になりたい。
そして伝えたい――
命にかかわらない疾患だからこそ、未来を見据えた治療が必要だということ。
手術は「ゴール」ではなく、その後の人生につながる大切な通過点であること。
もちろん、病変を取り除くことや症状が改善することは大前提です。
その上で、手術を受けた患者さんが――
それこそが、手術という選択の本当の意味だと、私は考えています。
これまで、たくさんの患者さんと向き合ってきました。
診察でお会いした瞬間から、術後のフォローまで。
どの場面でも、あなたの“いちばんの味方”でありたい――そう思いながら、日々手術に臨んでいます。
手術を迷う気持ちは、とても自然で、むしろ健全な反応です。
「もし予定通りにいかなかったらどうしよう」
「妊娠できなくなったらどうしよう」
「もっと良い方法があるのではないか」
こうした不安は、“自分の未来を大切にしたい”という思いの表れです。
だから、焦らなくて大丈夫。
無理に決めなくても大丈夫。
でも、もし不安なままでいるのがつらくなったら――
あなたのペースでいいので、話してみませんか?
私は、あなたの話を聞きたいと思っています。
ここまで読んでくださったあなたに、心から感謝します。
たくさんの情報の中からこの連載を選び、最後まで読んでくださったこと。
そして、私の言葉に耳を傾けてくださったこと。
それは私にとって、大きな励みであり、手術に向き合い続ける力にもなっています。
手術は、患者さんの“人生の一部”です。
そして私は、その大切な場面に関わらせていただけることを、何よりの信頼だと感じています。
だから――
「私を頼ってくれて、ありがとう」
そう思いながら、今日も診療に向き合っています。
あなたのこれからが、よりよい選択を通じて、よりあなたらしいものになりますように。
お力になれたら、うれしいです。
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錢 鴻武(産婦人科医/芦屋ウィメンズクリニック院長)
日本産科婦人科内視鏡学会 腹腔鏡・子宮鏡技術認定医
日本外科内視鏡学会 技術認定(産婦人科領域)
日本女性骨盤底医学会 専門医
「未来を守る医療」を信念に、子宮や卵巣の温存手術では機能の温存・回復にこだわった婦人科手術を専門に行う。
手術の技術だけでなく、術前の迷いや不安にも正面から向き合う診療スタイルが信条。
趣味はマラソン。走る医師として、サロマ湖ウルトラマラソンを10回完走し「サロマンブルー」の称号を得ている。フルマラソン自己ベストは2時間53分、富士登山競走も2回頂上まで完走。