【総集編】未来を守る手術の話 全5回まとめ...
2025/08/21
2025/12/29
こんにちは。産婦人科医の錢 瓊毓(せん・けいいく)です。

性感染症の何がいけないのでしょうか。病気にならないのが一番ですが、「罹ったって治療できるのだから、そんなに深刻に考えなくてもいいのでは?」——そう思ったことはありませんか。
一時的な症状だけで済むものなら、その考え方でも大きな問題はないかもしれません。でも、中には将来の妊娠や出産、そして人生全体の安心にまで影響する性感染症があります。
だからこそ、この連載では「性感染症」とひとまとめにせず、ひとつずつの病気について解説していきます。短期的な影響と長期的な影響の違いを知り、自分の未来をどのように守るのかを一緒に考えていきましょう。
第1回は、クラミジアと淋菌。
第2回は、梅毒とHIV。
第3回は、B型肝炎とC型肝炎。
第4回は、トリコモナス。
第5回は、ハイリスクHPV(ヒトパピローマウイルス)。
第6回は、マイコプラズマとウレアプラズマ感染症。
では早速、第5回の主題に入りましょう!
子宮頸がんの原因となるウイルス
HPV(ヒトパピローマウイルス)は、性行為を通じて多くの人が一度は感染するごく一般的なウイルスです。その中でも「ハイリスク型」と呼ばれるタイプは、子宮頸がんをはじめとしたがんの原因となることが知られています。
感染してもほとんどの場合は自然に排除されます。しかし、一部の人では長期的に感染が続き、それが子宮頸がんの発症につながるのです。子宮頸がんは若い世代から発症することもあり、妊娠や出産といった大切なライフイベントに影響を及ぼす可能性があります。
HPV感染自体を完全に防ぐことは難しいですが、現在はワクチンによって予防効果が期待できます。そして、HPV感染を防ぐことで、子宮頸がんを予防できる可能性が高くなります。先行してHPVワクチン接種を始めた国々では、既に子宮頸がん罹患率減少など、明らかな効果が観察されています。オーストラリア、イギリス、スウェーデンでの長期間にわたる研究結果は信頼できる科学雑誌でも報告されています。
HPVは性行為で感染するウイルスなので、性行為開始前に接種することが最も理想的です。既に性行為が始まっている方の場合、性行為開始前の方と比べてどれくらいHPVワクチンのメリットを享受できるのか?という疑問が湧きますよね。既に性経験のある20〜30歳でも、ワクチン接種には依然として利益があるという研究が信頼できる科学雑誌に発表されています。
まだHPVワクチンを接種していない方は、一度考えてみても良いと思います。
子宮頸がんの検診は、従来、「子宮頸部細胞診」という検査方法が一般的なものとして実施されてきましたが、最近では、それに代わる「ハイリスクHPV検査」という検査方法が行われるケースもあります。
現在、日本では次のような方針が推奨されています。
特に30歳以上では、HPVの持続感染ががんのリスクに直結するため、より高感度なHPV検診が推奨されています。一方、20代ではHPVの一過性の感染が多く、過剰な精密検査を避けるために、細胞診が適しています。
つまり「知って、検査を受けて、必要なケアを続けること」が、自分の未来を守る大切な習慣になります。
将来の安心のために、検査を習慣にしていきましょう。
安心を積み重ねる習慣、性感染症検査をライフスタイルに
ハイリスクHPVは、感染してもほとんどの場合は自然に排除されますが、感染が長引くと、子宮頸がんを引き起こすことがあります。この事態を避けるために大事なのは、HPVワクチンを接種することと、感染の有無を確認して正しくモニタリングを続けること、です。
年に一度の性感染症検査をこれからのライフスタイルに取り入れてみませんか?この小さな習慣が、あなたの未来を守ります。
次回は、いよいよ最終回です。マイコプラズマとウレアプラズマ感染症について説明します。続きも読んでもらえると嬉しいです。
