【総集編】未来を守る手術の話 全5回まとめ...
2025/08/21
2026/01/05
こんにちは。産婦人科医の錢 瓊毓(せん・けいいく)です。

性感染症の何がいけないのでしょうか。病気にならないのが一番ですが、「罹ったって治療できるのだから、そんなに深刻に考えなくてもいいのでは?」——そう思ったことはありませんか。
一時的な症状だけで済むものなら、その考え方でも大きな問題はないかもしれません。でも、中には将来の妊娠や出産、そして人生全体の安心にまで影響する性感染症があります。
だからこそ、この連載では「性感染症」とひとまとめにせず、ひとつずつの病気について解説していきます。短期的な影響と長期的な影響の違いを知り、自分の未来をどのように守るのかを一緒に考えていきましょう。
第1回は、クラミジアと淋菌。
第2回は、梅毒とHIV。
第3回は、B型肝炎とC型肝炎。
第4回は、トリコモナス。
第5回は、ハイリスクHPV(ヒトパピローマウイルス)。
第6回は、マイコプラズマとウレアプラズマ。
いよいよ最終回です。本題に入りましょう。
近年注目されている性感染症
クラミジアや淋菌ほど知名度は高くありませんが、近年、性感染症として注目されているのが「マイコプラズマ」と「ウレアプラズマ」です。どちらも細菌に近い微生物で、性行為を介して感染します。
クラミジアや淋菌ほど知名度は高くありませんが、近年、性感染症として注目されているのが「マイコプラズマ」と「ウレアプラズマ」です。どちらも細菌に近い微生物で、性行為を介して感染します。
これらは、性器や尿路の感染症、さらには妊娠中の合併症に関わる可能性があると考えられています。ただし、実際に「どの程度病気の原因になっているのか」は、まだはっきりわかっていません。
なぜなら、健康で症状がない大人の体にも、これらの菌がふつうに存在していることが多いからです。検査で見つかっても、それが本当に病気の原因なのか、それとも単なる「同居人(常在菌)」なのかを区別するのは難しいのです。さらに、過去の研究デザインには限界があり、菌の検出自体も複雑でした。最近は遺伝子検査で見つけやすくなりましたが、それでも「原因菌だ」とはっきり言い切れるわけではありません。
このため、無症状の場合、マイコプラズマやウレアプラズマの ルーチン(定期的)な検査は推奨されていません。むやみに検査しても「ただ体にいた菌」を拾ってしまう可能性があるからです。
今後研究が進んでこれらの菌の意味がより明確になれば、検査についての基本方針も変わっていきますが、2025年現在では「ルーチン検査は推奨しない」というのが医療界の統一見解です。
つまり、これらの菌は「病気と関係があるかもしれないけれど、誰にでも見つかることがある」という存在です。必要なのは、不安をあおる検査ではなく、症状や背景をふまえた医師の判断のもとでの検査です。
小さな違和感を軽視せず、気になるときには医療機関で相談してください。それが未来の安心につながります。
安心を積み重ねる習慣、性感染症検査をライフスタイルに
性感染症は、一時的な症状で終わる病気ではありません。将来の妊娠や出産といった大切なライフイベント、そして人生全体の安心に影響を及ぼす可能性があります。
この連載では、クラミジア感染症、淋菌感染症、梅毒、HIV、B型肝炎、C型肝炎、トリコモナス、ハイリスクHPV、そしてマイコプラズマとウレアプラズマ感染症について、一緒に学んできました。それぞれは一時的な症状にとどまるものもあれば、長期的に健康を左右するものもありましたね。
健康診断を毎年受けるのは、病気を早期に見つけ、安心して日常を送るためです。同じように性感染症の検査も、症状がなくても未来を守るための “定期点検” です。年に一度の習慣として取り入れることが、将来の安心につながります。検査は不安のためではなく、未来を守る行動です。
「ずっと同じパートナーだから、私は大丈夫」と思っている方も多いと思うのですが、例えば、「食事も運動も気をつけているから、私は大丈夫」と言って健康診断や検診などを省略しますか?健康的な生活をしていても、病気になる可能性はあって、それを早めに見つけて治療するために検診を受けていますよね。性感染症検査も同じです。
人生は選択と決断の連続です。ご自身の人生に確かな安心をどうやって積み重ねるのか?この連載が、この点について今一度考えるきっかけになることを心から願っています。
意味のない腫瘍マーカーなんて調べていないで(詳細は別記事)、年に一度の性感染症検査が世間の常識になりますように!
