【総集編】未来を守る手術の話 全5回まとめ...
2025/08/21
2025/11/13
こんにちは。芦屋ウィメンズクリニックの錢 瓊毓(せん けいいく)です。
「性行為のたびに膀胱炎になってしまう」
――そんな悩みを抱えていた30代前半の女性が受診されました。
性行為のたびに発症し、せっかくの旅行や外泊中に身体が辛くなる。予定があるときほど膀胱炎に悩まされ、楽しめないことが続いている、とのことでした。
その方にお伝えしたのは、とてもシンプルな工夫。
「性行為のあとに必ず排尿をする」 という習慣です。
最初は半信半疑だったそうですが、実践してみると膀胱炎の発生頻度が劇的に下がり、半年以上症状が出ない期間が続きました。「旅行や外泊を安心して楽しめるようになりました」と笑顔で報告してくださったのが印象的です。
もちろん、すべての方が同じように改善するわけではありません。しかし、膀胱炎には医学的な理由と予防の工夫があり、知っておくことで「繰り返す膀胱炎」に悩まされずに過ごせる可能性があるのです。
今日は、性行為後に膀胱炎を繰り返してしまう女性に向けて、その原因と予防法、そして病院でできる対策についてお話しします。
膀胱炎は、大腸菌などの細菌が尿道から膀胱に入り込み、膀胱の粘膜に炎症を起こすことで発症します。
女性は男性に比べて尿道がとても短いため、細菌が膀胱まで届きやすいという解剖学的な特徴があります。性行為の際には摩擦や接触によって細菌が尿道口付近に移動しやすくなるため、膀胱炎を引き起こすきっかけになるのです。
膀胱炎は誰にでも起こり得ますが、特に繰り返しやすいのは次のようなケースです。
心当たりのある方は、予防の工夫を取り入れることで再発を減らせる可能性があります。
日常生活でできる予防策をいくつかご紹介します。
これらはシンプルですが、続けることで膀胱炎の再発予防に役立ちます。
次のような場合は、自己判断で市販薬や抗菌薬を繰り返すのではなく、早めに医療機関を受診してください。
繰り返す膀胱炎の背景には、ホルモンバランスの低下や体質、あるいはまれに他の疾患が隠れていることもあるため、しっかり検査することが大切です。
病院では、尿検査や培養検査で原因菌を特定し、適切な抗菌薬を選びます。再発を繰り返す場合には、低用量の抗菌薬を一定期間内服する「予防的投与」を行うこともあります。
また、閉経前後でエストロゲンが低下している方には、ホルモン補充療法が有効な場合もあります。性生活の工夫や避妊法の見直しも、医師と一緒に検討できます。
性行為後に膀胱炎を繰り返すのは、決して珍しいことではありません。多くの場合、解剖学的な特徴や生活習慣が関わっており、「自分のせい」ではないのです。
大切なのは、正しい予防を心がけることと、必要なときにはきちんと医師に相談すること。繰り返す膀胱炎に悩まされている方は、ぜひ一度婦人科にご相談ください。
あなたが安心して日々を過ごせるよう、私たちも一緒にサポートしていきます。
