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2025/03/08
2025/03/14
産婦人科医の錢瓊毓(せん けいいく)です。
生理の前にイライラしたり妙に悲しくなったり、という方は珍しくありません。日常生活に支障が出て困っている場合には、産婦人科ではまずは低用量ピルを試してみていただくことが多いのですが、それだけではうまくいかないときは少量の抗うつ薬を併用することもあります。
私自身は、抗うつ薬を処方する経験が限られていたので、低用量ピルでうまくいかない場合は精神科/心療内科へご紹介していました。しかし、生理に関わることなので本来であれば産婦人科医の自分がもう少し知識と経験を持って診療を行えるのが理想だなと思っていました。幸い、心療内科を専門とするベスリクリニックで診療する機会に恵まれ、経験豊富な先生たちに抗うつ薬のことをたくさん教えていただきました。抗うつ薬のエキスパートになったわけでは全くありませんが、生理に関連する精神的症状への対応ができる程度には経験を積むことができたと思っています。
今日は、私が学んだことを少しお話させてください。
月経前症候群(PMS)における精神的症状は、単なる気分の変化ではなく、複雑な生理学的メカニズムに基づいています。特に、セロトニンなどの脳内神経伝達物質の変動が大きく影響し、気分の落ち込みやイライラ、不安感を引き起こします。
抗うつ薬は、これらの神経化学的変化を調整し、PMSによる精神症状を緩和する重要な治療選択肢の一つとなっています。特に、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が最も効果的とされています。
PMSの治療に使用される抗うつ薬には、主に以下のようなタイプがあります:
これらの薬は、毎日ではなく、特に症状が強い数日間のみ服用する「周期的投与」でうまくいく方もいらっしゃいます。薬漬けになっちゃうのでは、、、と不安になる方もいらっしゃると思いますが、ご自身に合うお薬とその服用方法を見つけることで、生理前の不安定な時期を過ごしやすくすることができますので、まずは抗うつ薬について理解を深めてください。
抗うつ薬によるPMS治療には、以下のような利点と注意点があります:
期待される効果:
治療における注意点:
PMS治療における抗うつ薬は、単なる薬物療法ではなく、総合的な女性の健康支援の一つのアプローチです。個々の症状や体質に合わせた、きめ細やかな治療が重要となります。不安や疑問がある場合は、必ず専門医にご相談ください。
芦屋ウィメンズクリニックでは、患者様の「今」だけを診るのではなく、一人ひとりのキャリアや人生観などの「未来」もお聞きしながら、最適な治療のタイミングと方法を一緒に考えていきます。PMSで悩んでいる場合は、ぜひ受診してください。来院困難な場合には、まずはオンライン診療でお話を伺うこともできるので、お問い合わせくださいね。ご予約はオンラインで受け付けています。LINE予約が便利なので、ぜひご活用ください。