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2025/03/08
2025/02/11
医師の錢瓊毓(せん けいいく)です。
芦屋ウィメンズクリニックを開院して3ヶ月が過ぎました。少し予想外だったのが、50歳前後の受診者がとても多いという点です。41-59歳の方が当院受診者の半数以上を占めています。その中の多くのご相談が更年期に関するものです。
そういえば、これまでも企業から社内向けの講演会で更年期を題材に依頼されたことがあったのを思い出しました。私が思っている以上に更年期に対する関心が高く、情報に対する需要が高いのだと思ったので、今日は更年期について書くことにしました。
40代を迎えると、多くの女性が「更年期」という言葉を意識し始めます。更年期とは、閉経の前後約10年間を指し、ホルモンバランスが大きく変化する時期です。しかし、「更年期症状=つらいもの」と決めつける必要はありません。
実は、更年期はすべての女性に訪れますが、更年期症状は人それぞれです。症状が強く出る人もいれば、ほとんど気にならずに過ごせる人もいます。これは、思春期に例えるとわかりやすいかもしれません。思春期は誰にでも訪れますが、大きく荒れる人、親に反抗する人もいれば、なんとなく過ぎた人もいますよね。更年期も同じで、その感じ方や影響は個人差が大きいのです。
大切なのは、「年齢のせい」と片付けずに、自分に合った対策を知ること。ここでは、更年期に起こる体や心の変化、そして快適に過ごすための方法についてお話しします。
更年期の大きな特徴は、卵巣の機能が低下し、エストロゲンという女性ホルモンが減少することです。この変化によって、次のような症状が現れることがあります。
これらの症状がすべての人に出るわけではありません。また、同じ「のぼせ」でも、熱く感じる程度や発汗の量には個人差があります。
エストロゲンの変化は、心の状態にも影響を及ぼします。特に多いのが以下のような症状です。
更年期の心の変化も、感じ方には個人差があります。「自分が変わってしまった」と不安に思うかもしれませんが、ホルモンの影響で一時的に起こるものなので、適切な対処をすれば和らげることができます。
① 生活習慣の見直し
更年期に限らない話ですが、健康の基本は生活習慣です。人生後半戦のこの機会に見直してみませんか?
② ストレス管理とリラックス方法
ストレスが更年期症状を悪化させるという研究報告があります。ストレスは万病のもととも言います。同じセリフですが、人生後半戦に入る今、ストレス管理方法を見直してみませんか?
③ アロマオイルの活用
香りの力を利用するのもおすすめです。誰にでも効くと言いきることはできませんが、試してみる価値はあると思います。
ディフューザーで香らせる、マッサージオイルとして使用する、バスタイムに数滴垂らすなどの方法で使ってみてください。
④ ホルモン補充療法(HRT)や漢方などの治療
症状がつらい場合は、婦人科で相談しましょう。ホルモン補充療法(HRT)や漢方を取り入れることで、症状が改善することがあります。ホルモン補充療法は、効果の期待できる治療ですが、意外と誤解されていることが多く、ためらわれる方も多いです。そのメリットやリスクの詳細については、また別の記事で詳しくお話します。
現代では、同じ年齢でもライフステージが大きく異なることは珍しくありません。例えば、45歳で子育てがひと段落し、自分の時間を持てるようになった人もいれば、まだ未就学児の育児に追われている人もいます。また、仕事においても、キャリアを積み重ねた結果、より大きな責任を担い、忙しさが増している人もいれば、新たな挑戦を始める人もいます。
このように、女性の生き方が多様化している現代において、更年期の捉え方も一人ひとり異なるはずです。だからこそ、「更年期だからこうあるべき」と決めつけず、自分の状況に合わせた対策を考えることが大切です。
日々の生活の中で無理をしすぎず、体や心の変化に耳を傾けながら、今の自分に合った健康的な習慣を取り入れていきましょう。更年期は「人生の折り返し」ではなく、「新しい自分を見つけるチャンス」とも言えます。焦らず、自分のペースで心地よい時間をつくっていきましょう。
「更年期」は決してネガティブなものではありません。思春期と同じように、人生の中の自然な変化のひとつ。自分に合った対策を見つけながら、新しいステージを前向きに迎えていきましょう。