【総集編】未来を守る手術の話 全5回まとめ...
2025/08/21
2025/10/28
こんにちは。産婦人科医の錢 瓊毓(せん けいいく)です。
今日は、閉経を迎える前の「生理の変化」についてお話しします。
「閉経」と聞くと、ある日突然ピタッと生理が止まると思われる方も少なくありません。けれど実際は、数年をかけて体が少しずつ変化していくのが自然な流れです。その過程で生理のリズムが乱れたり、出血の仕方が変わったりします。
ただ、「変化なのか異常なのか」の線引きが分からず、不安になる方がとても多いんです。今日は閉経前に起こりやすい生理の揺らぎを整理しながら、「これは一度婦人科に相談してほしい」というサインをお伝えします。
まず知っていただきたいのは、「生理が変わること自体は自然なこと」だという点です。卵巣の働きが少しずつ弱まっていく過程で、女性ホルモンの分泌が不安定になります。その結果、次のような変化がよく見られます。
これらは更年期の入り口によくある自然な揺らぎです。体が新しいリズムに移行していくサインとも言えます。
一方で、「自然な変化」とは言い切れず、一度は受診していただきたいケースもあります。病名を特定することが目的ではなく、「安心するため」に受診してほしいサインです。
こうした場合、体から「一度チェックしてね」という合図が出ていると考えてください。
婦人科を受診するのは、必ずしも「何か病気があるから」ではありません。
「この変化は年齢のせいなのか、放っておいていいのか」――その答えを一緒に確認する場だと思っていただければ大丈夫です。
受診の際には、血液検査や超音波検査などで今の体の状態を確認できます。異常がなければそれで安心できますし、必要があれば早めのケアにつなげられます。
何より「不安をひとりで抱え込まないこと」が大切です。
診察を受けるときにおすすめなのが、気になる変化をメモして持参することです。
こうしたシンプルな記録で十分です。医師にとってはとても大切な情報になり、診察もスムーズに進みます。何より、ご自身でも体のリズムを客観的に把握できるようになります。
閉経前の生理は、誰にでも起こる自然な変化のひとつです。周期や量に揺らぎが出るのは体が新しい段階に向かっている証拠。ただし、出血が長引いたり極端に多くなったり、不正出血が繰り返されるときは、体が「ちょっと相談してね」と知らせてくれているのかもしれません。
不安に思ったら、どうぞ気軽に婦人科を訪ねてみてください。そのときに気になる変化を簡単にメモして持ってきていただけると、とても役立ちます。
小さな記録が大きな安心につながります。どうぞご自身の体の声に耳を傾けながら、安心して次のステージを迎えてください。
