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2025/03/08
2025/03/10
こんにちは!産婦人科医の錢瓊毓(せん けいいく)です。
産婦人科医が発信する情報は、これから妊娠するであろう年代の方々に向けたものがどうしても多くなるのですが、妊娠出産だけでなく、女性の一生をサポートするのが私たち産婦人科医の役割なので、今回は、閉経後の方々向けの情報を整理しました。
閉経すると「もう婦人科に行くことはないかな」と思う方も多いかもしれません。確かに、月経がなくなると婦人科と関わる機会は減ります。月経にまつわるトラブルからは解放されますし、子宮筋腫も子宮内膜症も、閉経後は積極的な治療が不要になります。しかし、閉経後でもこんなときはぜひ婦人科で相談してほしい!とお願いしたことがいくつかあるので、ここでは、「こんなときは婦人科へ」というポイントをお伝えします。
一番大事なことは最初に書きます!
閉経後に出血がある場合は、早めに受診してください。少量の出血でも、子宮や膣の病気が隠れている可能性があります。特に怖いのは、子宮のがんです。子宮頸がん検診を定期的に受けている方であれば、子宮頸がんの可能性は低いのですが、年齢とともに子宮体癌のリスクが上がってきます。
閉経の定義は、最後の生理から1年以上無月経が続いた場合、です。最後の生理から1年以上経過して、また生理のような出血があったときは、絶対に婦人科を受診してください。
ちょっと様子を見て、、、血が止まったからまあいいか、、、ということはしないでください。結果的に、がんではないことの方が多いのですが、「がんではない」と確認することが大切なので、自己判断せずに、産婦人科医に相談しましょう。
閉経後は女性ホルモン(エストロゲン)の低下により、膣の粘膜が薄くなり、乾燥やかゆみ、痛みが出やすくなります。性交時の痛みや、日常生活での違和感がある場合は、ホルモン補充療法(HRT)や保湿剤を使うことで症状が改善することがあります。
「トイレが近くなった」「くしゃみをすると尿が漏れる」などの症状はありませんか?加齢に伴う骨盤底筋のゆるみや、膀胱の変化が原因となることがあります。生活習慣の改善やトレーニングで改善できることもあるので、お気軽にご相談ください。
「下腹部に何かが下がってくる感じがする」「膣から何かが出ているように感じる」といった症状がある場合は、骨盤臓器脱かもしれません。これは、子宮や膀胱、直腸が支えを失って下がってくる状態です。命を落とすようなことはありませんが、進行すると日常生活に支障をきたし、外出するのが億劫になったり、趣味を楽しめなくなるかもしれません。ぜひ一度相談してください。
閉経後は、ホルモンの変化によりホットフラッシュ(のぼせ・発汗)や気分の落ち込み、動悸などの症状が出ることがあります。これらの症状は放っておくと生活の質に影響を与えるため、必要に応じてホルモン補充療法(HRT)や他の治療を検討できます。
閉経は「終わり」ではなく、新しいライフステージの始まりです。より快適で健康的な生活を送ることができるように、「こんな症状は相談してもいいのかな?」と迷ったら、どうぞ遠慮なくご相談ください。芦屋ウィメンズクリニックでお待ちしています。