「子宮内膜症と言われたけどどうしたらいいんだろう?」と思ったとき、次の行動を起こすためには知識が必要です。子宮内膜症は、適切な治療を受けることで症状を軽減するだけではなく、未来を変えることができます。この記事では、子宮内膜症の治療法について説明します。どの治療法が自分に合っているかを医師と相談する前の予習だと思って読んでください。
なぜ子宮内膜症は治療が必要なの?
子宮内膜症を放置すると、症状が悪化し、生活や人生に大きな影響を与える可能性があります。痛みは日常生活や仕事にも支障をきたすことがあり、不妊はあなたの人生を揺るがす大きな課題になるかもしれません。治療は症状の緩和を目指すとともに、病気の進行を防ぎ、あるはずの未来を守ることが目的です。治療を受けることで、自分に合った方法で症状をコントロールし、より日々が過ごしやすくなります。
薬物療法:エストロゲンを抑制する
子宮内膜症はエストロゲンの影響によって進行するため、エストロゲンの分泌を抑制する薬剤を使用します。抑制する程度は薬物によって異なるため、患者さんの重症度に応じて薬剤を選択します。
- 低用量ピルまたはプロゲスチン製剤:
低用量ピルやプロゲスチン製剤は、子宮内膜組織の増殖を抑える働きがあるため、症状を軽減することができます。子宮内膜症の薬物療法としては第一選択として使用されることが多い薬剤です。
- GnRHアナログ:
低用量ピルやプロゲスチン製剤では効果が不十分な場合や、手術の前に月経を止めたい場合に使用されます。偽閉経療法と呼ばれる治療で、低用量ピルやプロゲスチン製剤よりも、強くエストロゲンの分泌を抑えます。そのため、副作用として更年期様症状や骨密度の低下が起こることもあり、短期間(6か月以内)しか使用できません。
- アロマターゼ阻害剤:
エストロゲンの産生を抑えることで症状の改善を図ります。主にGnRHアナログに効果がない場合に用いられますが、日本ではまだ保険適応になっていません。閉経後乳癌の治療や排卵誘発の補助薬としての認可しかおりていません。
手術療法:外科的に病巣を取り除く
子宮内膜症に対する手術療法は、主に以下の場合に行われます。
- 薬物療法では症状の緩和が十分でない場合
- 不妊症の原因検索が必要な場合
- 不妊症の原因と疑われる病変を切除したい場合
- 組織診断が必要な場合
- チョコレート嚢腫の癌化を予防したい場合
手術は腹腔鏡手術または開腹手術で行われますが、子宮内膜症の重症度や術式によって難易度が変わるため、施設や担当医の技量によって選択される方法が変わります。手術の内容は目的や病状によって以下の術式が選択されます。
- 卵巣嚢腫摘出術:
チョコレート嚢腫に対して行われます。卵巣に発生した子宮内膜症の病変のみを切除し、卵巣の機能を温存する手術です。主に、今後の妊娠を希望している患者さんに行われます。ただし、手術によって卵巣機能を低下させるリスクもあるため、手術のタイミングや方法は慎重に検討する必要があります。
- 付属器切除術:
チョコレート嚢腫に対して行われます。病変が発生した側の卵巣と卵管を切除する手術です。主に、今後の妊娠を希望しない40代以降の患者さんが対象となり、卵巣がんの予防目的、または卵巣がんが疑われる時に行います。
- 付属器周囲癒着剥離術:
卵巣や卵管周囲の癒着を剥がす手術です。主に、不妊症の患者さんに対して行われます。自然妊娠や人工授精の確率を上げる目的で行います。
- 子宮全摘術:
子宮腺筋症や月経困難症、慢性骨盤痛の患者さんに対して、出血や痛みなどの症状を緩和する目的に行われます。今後の妊娠を望まない患者さんが対象です。
- 深部子宮内膜症病巣切除術:
骨盤内に発生した子宮内膜症病変を切除する手術です。月経困難症や慢性骨盤痛の患者さんに対して、疼痛を緩和する目的で行われます。
- 子宮腺筋症切除術:
子宮腺筋症を切除する手術です。主に、不妊症の患者さんに対して行われます。流早産を繰り返している患者さんや、子宮腺筋症が不妊症の原因として疑われる患者さんが適応です。
自分に合った治療法を見つけるために
子宮内膜症の治療法は、症状の重症度、患者のライフスタイル、妊娠希望の有無などに基づいて選択されます。薬物療法は症状の管理に有効であり、手術療法はより根本的な治療を提供します。医師としっかり相談しながら、あなたにぴったりの治療法を選ぶことが大切です。治療法を理解し、適切に対応することで、より良い未来を築くための第一歩を踏み出すことができます。
芦屋ウィメンズクリニックからのメッセージ
芦屋ウィメンズクリニックでは、患者様の「今」だけを診るのではなく、一人ひとりのキャリアや人生観などの「未来」もお聞きしながら、最適な治療のタイミングと方法を一緒に考えていきます。気になる症状がある場合は、ぜひ気軽に受診してください。来院困難な場合には、まずはオンライン診療でお話を伺うこともできますので、お問い合わせくださいね。予約はオンラインで受け付けています。LINE予約が便利です。
