子宮筋腫と未来の妊娠 – 年齢による方針の違い | 芦屋ウィメンズクリニック | 芦屋市の婦人科
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子宮筋腫のこと

2025/03/06

子宮筋腫と未来の妊娠 – 年齢による方針の違い

子宮筋腫は、女性の3~4人に1人が持っているとされる、比較的一般的な疾患です。検診で偶然見つかることも多く、症状がない場合は経過観察となることがほとんどです。しかし、将来的に妊娠に影響を与える可能性もあるため、注意が必要です。

「まだ治療は必要ありません」と言われ、そのまま何となく経過観察を続けていませんか?ある日突然手術を勧められ、状況を理解できずに戸惑う方も少なくありません。ライフステージや病状の変化に伴い、子宮筋腫が持つ意味合いは変わるため、産婦人科医としては「どうしてまだ治療が必要ないのか」、「いつ、どうなったら治療をするのか」を明確に理解した上で経過観察を行っていただきたいと思います。

どういった場合に手術が必要?

子宮筋腫の手術は主に以下の目的で行われます。

  • 症状の改善:月経過多、強い痛み、腹部膨満感などの症状を軽減するため。
  • 妊孕能の向上:妊娠の妨げとなっている筋腫を取り除くことで、妊娠しやすくするため。
  • 妊娠中の合併症の回避:妊娠中のリスクを軽減するため。

そのため、症状の有無や妊娠の希望、具体的な妊娠計画の時期によって治療方針は異なります。特に、妊娠を目的として手術を検討する場合は、年齢や生殖医療に対する患者さん自身の考え方も考慮されます。

このように、多くの要素が方針の決定に影響するため、子宮筋腫の大きさや数が同じでも、提案される治療方針が異なることがあります。今回は、「子宮筋腫があるが症状はなく、妊娠のために手術をすべきかどうか」というケースについて、30代前半の方と30代後半・40代の方でどのように治療方針が異なるのかを解説します。

子宮筋腫が妊娠に与える影響

子宮筋腫は、子宮の筋肉から発生する良性の腫瘍で、子宮のどこにあるかで以下のような種類に分けられます:

  • 漿膜下筋腫:子宮の外側に向かって成長する
  • 筋層内筋腫:子宮の筋層の中にできる
  • 粘膜下筋腫:子宮内膜側に突出し、過多月経や過長月経を引き起こしやすい

子宮筋腫の大きさや位置によって、妊娠を妨げたり、妊娠中の合併症のリスクを高めたりすることがあります。

妊娠のために子宮筋腫を取る必要があるか?

無症状の子宮筋腫でも、将来的に妊娠に影響を及ぼす可能性があります。特に粘膜下筋腫や子宮内腔に広く接する筋腫は、妊娠の妨げとなることがあります。ただし、影響の有無を正確に判断するのは難しく、MRIや超音波検査の結果から可能性を推定することはできますが、最終的には個別の状況に応じて判断されます。そのため、医療機関によって判断が異なることもあります。

子宮筋腫が妊娠中に合併症を引き起こすリスクについても同様のことが言えます。

では、これらのことを踏まえて、年齢以外は同じ状態(子宮筋腫はあるが、無症状、妊娠を希望)だと仮定して、年齢の違いで何がどう変わるのかについて、さらに考えていきましょう。

年齢によってなぜ方針が変わるのか?

女性が妊娠できる年齢には限りがあります。高度生殖医療が発達した現在でも、その事実は変わりません。(詳細はこちら:未来の妊娠のために 〜ライフプランの中で考える妊娠と出産〜
そのため、現実的に妊娠可能な期間によって、治療のアプローチが異なります。

30代前半までの場合

30代前半までは妊娠を試みる時間的な余裕が比較的あるため、治療はステップバイステップで進められます。妊娠への影響が明らかでない場合は、一定期間妊娠を試みて、妊娠しなければ手術を検討するといった流れになります。ただし、個々の価値観やリスクへの考え方に応じて、先に手術を行う選択肢もあります。

30代後半以降の女性の場合

30代後半以降は自然妊娠の確率が急激に低下します。たとえば、

  • 35歳の自然妊娠率:1周期あたり約18%
  • 40歳の自然妊娠率:5%
  • 45歳の自然妊娠率:1%

また、体外受精を行った場合でも、

  • 40歳での生産率(出産まで至る確率):10%未満
  • 42歳での生産率:5%未満

こうしたデータを踏まえると、30代後半以降では早めの決断が求められ、妊娠を希望する場合には先に手術を勧める傾向が強くなります。

具体的な妊娠の計画がまだない場合はどうする?

無症状の場合、積極的な治療は行わず経過観察とするのが一般的です。ただし、月経がある限り状態は変化するため、妊娠を視野に入れる場合は適切な管理のもとで経過観察を行うことが推奨されます。

症状がある場合は、薬物療法または手術療法を検討し、主治医とよく相談して治療方針を決定しましょう。

治療方針の選択肢

  • 経過観察
    症状がない場合は、すぐに治療をせず、定期的に検査を行いながら様子を見ます。ただし、閉経するまでは筋腫が大きくなること可能性があるため、注意が必要です。症状が出現する、もしくは具体的に妊娠を試みる時期が決まったら、治療を検討します。閉経までに症状がなければ、そのまま何もせずに見守ります。閉経後は筋腫が自然に縮小することが多いため、閉経までが経過観察のゴールとなります。

  • 手術
    今後の妊娠希望有無に応じてどんな手術をするのかを決めます。
    • 子宮筋腫核出術:妊娠の可能性を残すために、子宮を温存しつつ筋腫のみを摘出する手術がです。ただし、再発する可能性があるため、手術の時期については十分に話し合う必要があります。
    • 子宮全摘術:今後妊娠の希望がない場合は、子宮筋腫を根治する目的で子宮を全部摘出する手術です。
  • 薬物療法
    年齢や状態に応じて、どのような薬を使うのかを決めます。
    • 偽妊娠療法:低用量ピルや黄体ホルモン製剤で月経量や痛みを軽減。ただし、筋腫の成長を抑える効果はありません。
    • 偽閉経療法:ホルモン剤を使用して閉経期状態まで女性ホルモンを抑えることで、一時的に筋腫を縮小させることができますが、長期的な治療には適していません。閉経に近い年齢の方や、手術前に一時的に筋腫を小さくしたい時に行います。

まとめ – 年齢による治療方針の違い

同じ条件でも、年齢によって治療のアプローチが大きく異なります。絶対的な答えはありません。絶対的な正解はなく、それぞれのライフプランやリスク許容度に応じて最適な選択をすることが重要です。専門家の助言を得ながら、最終的にあなたが自分で決めた道を歩むことが、ご自身とっての最善なのだと思います。

子宮筋腫がある場合、「今は大丈夫」でも、将来の妊娠に影響を及ぼすことがあります。婦人科を受診し、未来のことを考えつつ、適切な管理方法を相談してみましょう。

芦屋ウィメンズクリニックからのメッセージ

芦屋ウィメンズクリニックでは、患者様の「今」だけを診るのではなく、一人ひとりのキャリアや人生観などの「未来」もお聞きしながら、最適な治療のタイミングと方法を一緒に考えていきます。気になる症状のある方や治療法について悩んでいる場合は、ぜひ受診してください。来院困難な場合には、まずはオンライン診療でお話を伺うこともできるので、お問い合わせくださいね。

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