
「ドクターズ・ファイル」に取材いただきました!...
2025/02/11
2025/01/17
「HPVワクチン」という言葉を聞いたことはありますか?HPVワクチンについてもっと知りたいと思っている中高生の方やその保護者の方向けに、大切な情報をわかりやすくお伝えします。
HPVとは、ヒトパピローマウイルスの略です。性的接触を通じて感染するウイルスで、多くの人が一生に一度は感染する可能性があります。HPVは100種類以上のタイプ(型)がありますが、そのうち17種類が「ハイリスク型HPV」と呼ばれ、子宮頸がんの原因となる可能性があります。ハイリスク型HPVは、16、18、26、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、68、69、73、82型と定義されています。特に「16型」と「18型」という2つのタイプが、子宮頸がんの約70%の原因となっています。
子宮頸部にハイリスク型HPVが感染すると、長い年月を経て子宮頸がんの発症へと至ることがあります。子宮頸部へのHPV感染経路は、性的接触です。なので、言い換えると、性交経験がない方は子宮頸がんのリスクはほとんどありません。
HPVワクチンは、ヒトパピローマウイルス(略してHPV)による感染を予防するワクチンです。特に子宮頸がんの原因となるウイルスから、あなたの体を守ってくれる重要な予防接種です。
これまでに世界で開発されたHPVワクチンは3種類ありますが、9価HPVワクチン(商品名:シルガード9)が今は主流であり、子宮頸がんに関連するHPVの約90%をカバーできると言われています。今からHPVワクチン接種を検討される方は、9価HPVワクチンについて調べてください。
9価HPVワクチンは、9種類のHPV(6、11、16、18、31、33、45、52、58型)の感染を予防します。このうち、ハイリスク型HPVと定義されているのは、16, 18, 31, 33, 45, 52, 58型の7種類です。
ここまで真面目に読んだ方は「あれ?」と思いますよね。9価HPVワクチンが感染予防する9種類のHPVのうち、ハイリスク型は7種類。では、残りの2種類は何のため?と。
HPV6型と11型は、尖圭コンジローマという性感染症の原因ウイルスなのです。このふたつをHPVワクチンで予防できます。
まとめると、現在の主流である9価HPVワクチンは、7種類のハイリスク型HPV感染を予防することで子宮頸がんのリスクを下げ、かつ、別の2種類のHPV感染を予防することで、尖圭コンジローマの発症リスクを下げます。
HPVワクチンの最大のメリットは、子宮頸がんを予防できる可能性が高いことです。先行してHPVワクチン接種を始めた国々では、既に子宮頸がん罹患率減少など、明らかな効果が観察されています。オーストラリア、イギリス、スウェーデンでの長期間にわたる研究結果は信頼できる科学雑誌でも報告されています。
HPVは性行為で感染するウイルスなので、性行為開始前に接種することが最も理想的です。そのため、12~16歳の方に接種推奨されていますが、16歳以降でも接種可能ですし、性行為開始前であれば何歳でも効果は同じです。接種は2回または3回の分割で行われ、長期的な予防効果が期待できます。
現在、日本では小学校6年生~高校1年生相当(12~16歳)の女性に対して定期接種が行われており、公費負担となっています。風疹や麻疹など幼少期に接種するワクチンは、お子さんの代わりに保護者の方がメリットとデメリットを考慮した上で決断をしています。HPVワクチンも同様に保護者の方が決めるのでも良いですし、金銭的な負担は承知の上でご本人が十分な知識をつけた後にHPVワクチン接種を受ける、という考え方でも良いと思います。
(参考:「小学校6年生~高校1年生相当の女の子と保護者の方へ大切なお知らせ」(概要版))
なお、海外では男子への定期接種を開始している国もありますが、日本では男子はまだ対象になっていません。費用は自己負担となりますが、ご自身とパートナーの健康のためにHPVワクチン接種を希望される男性もいらっしゃいますので、ぜひ近隣の医療機関にお問い合わせください。
どんなワクチンにも、軽度の副反応はつきものです。HPVワクチンでは、接種部位の痛み、発熱、頭痛などが報告されていますが、多くの場合は数日で回復します。重篤な副反応は非常にまれで、専門家による厳密な安全性の検証が行われています。
心配な症状がある場合は、すぐに医療専門家に相談することをおすすめします。個人の健康状態に応じて、専門家と相談しながら接種を検討することが大切です。
(参考:HPVワクチンに関するQ&A:厚生労働省ホームページ)
HPVワクチンは、あなたの未来の健康を守るための選択肢の一つです。正確な情報を得て、自分に合った予防方法を考えていくことが大切です。不安や疑問がある場合は、信頼できる医療専門家に相談してみましょう。
当院では、9価HPVワクチンを提供しています。在庫確保のため、ワクチン接種希望の場合は3日前までにご予約いただくようお願いしています。芦屋市の定期予防接種実施医療機関のひとつでもありますので、芦屋市にお住まいの12-16歳の方は無料でHPVワクチン接種できます。婦人科クリニックを上手に活用することは、女性にとって成長する中で身に着けるべき大事なスキルだと思いますので、HPVワクチン接種を婦人科受診の最初のきっかけにしてみるのはいかがでしょうか?芦屋ウィメンズクリニックでお待ちしています。