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手術のこと

2026/03/31

体験談じゃなく、“正解”が知りたいあなたへ_第5回 退院後の生活について

こんにちは🌿
芦屋ウィメンズクリニックの
錢 鴻武(せん こうぶ)です。

「その情報は、あなたのための“正解”ですか?」

ネットには、手術を受けた方の体験談があふれています。
ときに心強く、ときに不安を強めてしまう――
その情報と、医療としての説明のあいだにある「距離」について、この連載では少し立ち止まって考えていきます。

連載
『体験談じゃなく、“正解”が知りたいあなたへ』

第5回のテーマは
「重いものも、自転車も、いつからOK?+おしっこの管の話」

術後、家に帰ってから、
多くの方が「これはもうやっていいの?」と迷います。

重い荷物を持っていいの?
自転車に乗っても大丈夫?
お出かけや旅行は?

そして、聞きにくいけれど気になるのが――
「おしっこの管って、いつ入って、いつ抜くの?」

体験談ではいろいろな話が出てきて、
かえって迷ってしまうこともあります。

今回は、術後の生活に戻るタイミングについて、
現在の医学的な考え方をもとに整理してみました。

安心して一歩を踏み出すために。
どうぞお読みください。

重いものも、自転車も、いつからOK?+ちょっと聞きにくい“おしっこの管”の話も

術後、家に帰ってから、
多くの方が「これはもうやっていいの?」と迷います。

  • 重い荷物を持っていいの?
  • 自転車に乗っても大丈夫?
  • お出かけや旅行は?
    そして、聞きにくいけど気になるのが――
    「おしっこの管って、いつ入って、いつ抜くの?」

今回はそんな、“生活に戻るためのリアルなFAQ”に、
答えていきます。

重いものを持っても大丈夫?

結論から言うと、退院したその日からOKです。

お腹に力を入れても、起こるのは「少し痛む」程度です。
それで傷が開いたり、治りが遅れたりすることはありません。

つまり、痛みがあっても創傷治癒に影響するわけではありません。

そのうえで目安になるのは、

「その痛みが我慢できる範囲か」
「動作に不安を感じないか」

という感覚です。

なので、無理のない範囲で――
・日常の荷物
・ちょっとした買い物袋
・お子さんの抱っこ(重くなければ)

など、生活に必要な動作はもうして大丈夫です。

ただし、ひとつ例外があります。

骨盤臓器脱の手術を受けた方です。

骨盤臓器脱は「腹圧」が症状の悪化に関わるため、手術で修復した部位がしっかり身体になじむまでには一定の時間が必要です。

目安としては、8〜12週間程度は、強くいきむ動作や重いものを持つことは控えめにしてください。

また、その後も
便秘や肥満など、腹圧がかかる状態は再発のリスクになります。

できる範囲で、そうした要因を減らしていくことが大切です。

自転車や車の運転はいつからいい?

これもよくある質問です。

結論から言うと、
**「安全に操作できる状態であればOK」**です。

ポイントは、傷の治りではありません。

・運転にしっかり集中できるか
・急ブレーキや急ハンドルなど、とっさの動きができるか

といった、安全に関わる動作が問題なくできるかどうかが判断基準になります。

腹腔鏡手術のあとでも、
医学的に「運転や自転車が回復を妨げる」ということはありません。

ただし、

・痛みで動きが制限される
・ぼーっとする感じがある(体力、集中力の低下)

といった状態では、安全とは言えません。

そのため、

「不安なく操作に集中できるかどうか」
これをひとつの目安にしてください。

迷ったときは、
**「急な危険にとっさに対応できるか」**で考えてみてください。

遠出や旅行は?

旅行も、明確な制限はありません。

ただし、移動が長時間になると疲れやすいため、

・日帰りの外出 → 退院直後からOK
・宿泊や飛行機 → 体力と相談しながら

が一つの目安です。

「楽しめそう」と思えるかどうか。
それがひとつの判断基準になります。。

番外編|おしっこの管(尿道カテーテル)はいつ入れていつ抜くの?

この質問、実は気になっている方、多いようです。
でも、ちょっと聞きにくい… だからこそ、ここでしっかり答えます。

入れるのは、手術中(麻酔がかかってから)なので、痛みは感じません。

抜くのは、「歩いて自分でトイレに行けるようになったら」です。

では、いつから歩けるの? というと――

実は、腹腔鏡手術後の身体は、数時間後にはもう歩ける状態になっています。
ただ、最初の歩行には看護師の付き添いが必要なため、病棟の体制によってタイミングが決まります。

筆者の場合は、
術後翌朝に歩行を開始 → そのタイミングでカテーテルを抜去
という流れにしています。

ただ、現実には病棟の体制との兼ね合いもあり、
すべての方に同じタイミングで行えるわけではありません。

それでも今後は、
できるだけ早く体を動かし、早く管を外せるような流れを整えていきたいと考えています。
聞きにくいことほど、実は大事な情報です。


まとめ

✔️ 重いものは退院直後からOK。(骨盤臓器脱の手術を除く)
✔️自転車や運転は「安全に操作ができる状態」から
✔️ 傷が開く・治りが遅れるといった心配は不要
✔️ 動ける体なら、日常生活にもどることが回復の力に
✔️ 尿道カテーテルは、麻酔中に入れて、歩けたら抜く

次回のテーマは
「術後の性生活はいつから?月経はいつ再開する?妊娠はいつから?」
ちょっと聞きにくい“その後のこと”について、安心して前に進めるように整理していきます。

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✍️ 著者プロフィール

錢 鴻武(産婦人科医/芦屋ウィメンズクリニック院長)
日本産科婦人科内視鏡学会 腹腔鏡・子宮鏡技術認定医
日本外科内視鏡学会 技術認定(産婦人科領域)
日本女性骨盤底医学会 専門医

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